医薬品の使用期限について

先日、Amazonで便秘薬を購入しました。 すぐ服用するわけでないので小容量のPTP包装の40錠入りを購入しました。 PTP包装された薬は、空気に触れることを防ぐだけでなく吸湿や紫外線などによる変質を防ぎ清潔な状態を保つことが出来る利点がありますが、瓶入り包装の製品は開封時から飲み終える時点まで何度も空気に触れることになるので、長期間の保存には向きません。 また、瓶入りの医薬品は服用するおり、直接手のひらに出し一度手に触れた薬を瓶に戻す人を良く見かけます。 自分や家族だけが服用するとはいえ衛生的には良くないのです。 長期保存にはPTP包装の製品が良いと思います。

さて、商品が届き使用期限の確認をして驚きました。 なんと使用期限が半年に迫っているのです。 Amazonに出品した販売店宛に問い合わせると、 「使用期限が切迫しているので安価で販売しました」とのことでしたが納得がいきませんでした。 

私は以前(1975~1999年)薬局経営を行っていましたので、取り扱う医薬品は少なくとも半年に一度くらいは使用期限の確認を行っていました。その際、使用期限が1年を切る前に店頭から外していましたので、使用期限の迫った商品を販売することはありませんでした。 また、当時はメーカーや問屋に返品・交換の協力をしていただいていたため、廃棄処分はせずに済みました。

日頃から自分の薬局で取り扱う医薬品の品質管理は当たり前で、定期的に在庫管理と共に使用期限のチェックを行っていたので、「期限が切迫してきたから安くして売れば良い」など論外のことでした。

医薬品はAmazonにて購入することがありますが、今回はAmazonに出品している販売店(大阪市の薬局)からたまたま購入しました。すぐ服用するわけでなかったので配送がやや遅いことを納得したうえで安価な商品を購入することにしました。 その商品が「使用期限が切迫している商品」とは知りませんでした。

最初から 「使用期限が切迫している商品」 と判っていれば購入するはずもなく、出品者へ問い合わせると「納得いただけなければ返品して下さい」と返信があり、Amazonのカスタマーサービスから着払いで返品するよう指示があり返送しました。

販売者は、事前に「使用期限が〇年〇月までの商品です。使用期限内は安全に服用することができます。宜しければ購入して下さい」など、はっきり告知すべきでした。 なお、平成25年の医薬品販売制度改正で使用期限を過ぎた薬は販売が禁止されていて、間違って販売した場合は、薬事法違反で行政処分の可能性があります。

医薬品の販売業者は、日ごろから在庫の管理を行うだけでなく、定期的に使用期限をチェックするなど管理を怠らないことが重要です。

もちろん、購入する側も商品が届いたら開封する前に使用期限の確認が大切です。 使用期限まで少なくとも2年以上の余裕をもって購入しましょう。

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近年、食品ロスが問題になっています。本来食べられる食品が廃棄されてしまうのは大変もったいないことですが、こと医薬品に関しては命や健康に影響するわけですから、使用期限が切迫しているからといって食品ロスと同様に考えることは出来ません。