釜山旅行記 (2015.12.20)
初めての釜山の朝は6時40分に起床です。まだ昨日の疲れは残ったままなので朝風呂の用意をし、目覚まし代わりに入浴しました。7時30分、友人と部屋の電話で連絡を取り合い、一緒に朝食に向かいました。ホテルでの朝食はバイキングです。韓国なのでご飯をメインに惣菜はキムチやナムルなどが並んでいます。もちろん簡単な洋食メニューも準備してあります。私たちはご飯と野菜などをゲット、もやしのナムルやキムチは味が昨日食べたものと違いあっさりしていて美味しく頂けました。
朝食を済ませ部屋に戻ると、テレビでは日本の海外向けチャンネルを受信していて、NHKの朝ドラ「あさちゃん」を見ながら出発の準備です。
今日は梁山(ヤンサン)の北部に位置する通度寺(トンドサ)目指します。予定よりやや早めの8時30分に東横インホテルを出発し、地下鉄釜山駅に向かいました。外は昨日に比べやや肌寒く感じます。 釜山駅から終点の老圃(ノポ)まで行き、そこからバスで通度寺に向かう予定です。釜山駅から地下鉄に乗りしばらくすると、電車は地上を走っています。電車の窓から、いくつもの白い高層ビルが立ち並んでいる風景が目に飛び込んできました。地元韓国ではアパートと呼び、日本の分譲マンションとのこと、数の多さに圧倒されました。ビル群は山の中腹どころか頂上まで建てられ異様な感じさえします。周囲には一戸建ての建物も建ち並んでいますが、ビル群に押しつぶされそうに見えます。この日は曇り空だったせいか、町が暗く沈んだ感じに見えました。
車窓からの眺めに釘付けになりながら、約40分で終点の老圃(ノポ)駅に着きました。電車を降りると老圃の釜山総合高速バスターミナルから通度寺行きの直行バスに乗ります。改札を出るとバスターミナルは地下鉄駅と直結していてとても便利でした。
ここ釜山総合高速バスターミナルからは、ソウルを始め有名な都市を結ぶ直行バスが運行されていて、乗り換えなしで料金もかなり安く利用ができるようです。窓口で通度寺行きのチケットを購入し、34・35番のりばへ移動しました。通路にはコンビニや軽食店が並んでいて、店から漂う独特の臭いに閉口しました。コンビニに立ち寄りコーヒー飲料とロッテチョコを購入しましたが、表示はやはりハングルと英語でした。
高速バスに乗り込むと乗客で7割ほど埋まりました。通度寺まで高速道路を走ります。バスの車窓からは、痩せた山肌が日本の山とは何故か感じが違って寂しく見えました。道路は幾分広く作られているようで、韓国のほうが良く出来ていると思われます。友人に尋ねると、韓国内の道路網は整備が行き届いているとのこと。以前に聞いた記憶だと、韓国の高速道路は戦時下では飛行機の滑走路に使えるよう作られているとか。なるほどと感心しました。
バスは順調に走り、通度寺に到着しました。外の気温は10度を下回っていると思われるほどです。持参の手袋を着用しました。終点のバス駐車場から山門まで約400mほど歩きます。通度寺前の門前町は賑やかさはなく、寂れた町の風景です。道路には煙草の吸殻が散乱し、マナーの悪さが気になりましたが、韓国は当たり前なのでしょうか。
通度寺の入口が見えてきました。「靈鷲山門」と書かれた大きな額が掛かった門構えは思った以上に大きく威厳がありました。ここで観覧料3000ウォンを支払い門をくぐります。
靈鷲山門を通って、ここからさらに奥へ約1kmほど大きな松の林道の中を歩きます。林道の脇には渓流があり、自然を大いに満喫できます。また、道路には松の落葉が積もり柔らかい絨毯の上を歩く感じがしました。ウォーキングしている人にも出会いましたが、ウォーキングには最適のコースです。
川向こうには、自動車の列が見えます。通度寺の入口駐車場までマイカーで行けるようです。受験のシーズンになると、ここを訪れる参拝客でかなりの賑わいになるとのことでした。通度寺山門にたどり着くと、日曜日なのか山門前の駐車場は満車状態です。
通度寺入口の観光案内所へ入ると若い女性スタッフが笑顔で迎えてくれました。私の友人とは知り合いらしく日本語も堪能です。コーヒーをご馳走になりました。
山門をくぐると、境内の中は古い威厳を感じさせる建物が幾つも建てられていて、荘厳な雰囲気に包まれていました。646年の創建時の建物は現存せず、豊臣秀吉の朝鮮出兵(文禄の役 1592年)時にほとんどが消失していて、現在の建物は1601年と1641年に再建されていて、韓国三大名刹寺院に数えられているようです。本殿(大雄殿)には金剛戒壇の大きな扁額が掲げられていて、金剛戒壇に入るにはこの手前で履物を脱ぎます。本殿横を通り抜けて奥へ入ると広い石碑の中央に仏舎利塔があり、多くの参拝者が韓国特有のお辞儀(参拝)をしていました。(この本殿と金剛戒壇は国宝に指定されている。)
寺院内にある聖宝博物館を含め約1時間ほど見学し、通度寺をあとにしました。
寺院からの帰路、観光案内所の女性スタッフと再会し、門前の食堂で一緒に昼食を取ることにしました。食堂の中は座敷があり、オンドル(床下暖房)が入っていました。ビビンバを注文すると、金属の器に入ったナムルとご飯のほか、辛味噌やキムチが運ばれて賑やかな食台になりました。数種類のナムルが入った器の上にご飯を乗せ混ぜ合わせるとビビンバの完成です。ビビンバと唐辛子の酢漬けを美味しく頂きました。
午後からは、聖宝博物館の前館長と会う約束になっていて、梁山市博物館へタクシーで向かいました。現在はここの館長をされていて、館長の案内で館内の千聖山企画展を見学したあと、さらに館長のマイカーで隣町の鼎冠博物館(釜山広域市機張郡鼎冠面)まで移動し、機張陶磁の企画展まで見学することが出来ました。機張で発掘された14世紀頃の陶磁器に出会い、日本との繋がりを感じる有意義な時間を過ごせました。博物館を出ると、地下鉄の南梁山駅までお送って頂き、西面経由で釜山の東横インホテルに戻りました。
夕刻6時、ホテルで待ち合わせた友人の釜山での知り合いと合流しました。今日の夕食は「韓定食」を頂く予定です。「韓定食」は韓国に伝わる宮廷料理だと聞いていました。旅行前にインターネットで検索して事前の情報をゲットすると、「数十種類の料理からなる韓国伝統の定食。宮廷料理を現代風にアレンジし、地方の郷土料理などと複合させたメニューです。」との記述があり、楽しみにしていました。
ホテルからタクシーで南浦洞のロッテデパートまで移動しました。デパート前の信号を渡り、「大宮」と書かれた店の二階へ上がると、部屋の予約席へ案内されました。勿論ここもオンドルが入っていました。
席に着くと事前に予約された料理が運ばれてきます。まずは韓国産のビールで乾杯すると、次々と料理が出てきます。胡麻のスープに始まり、洋がらしと酢の和え物、あわびとひらめの刺身、キビとナッツのお餅?、ユッケ、チジミ、揚げ魚、牛肉と野菜の炒め物、春雨と野菜のゴマ和え?、おこげのスープ、キムチや白いスープのキムチなどなど。定番の韓国焼酎も頂きました。料理のお品書きがあると良かったのに、残念!
程よい満腹感と酔いでお店を出ると外はやや小雨が降っていました。食事のあと、知人に明日の予定の現地情報を教えてもらい、タクシーでホテルに戻りました。