「栄養表現のカラクリ」から見えるもの
先日、十数年来の友人が我が家を訪れ、久し振りに楽しい話に花が咲いた。
その友人は長年糖尿病を患っており、インスリン注射を持参で一泊することになった。。
翌朝のこと、「毎日飲んでいるものがあるから、朝食はいらない。」と言う。
バッグから取り出したものは、良く見かける紙パックに入った『1日分の野菜』で、栄養のバランスが良いので朝は必ず1パックを飲んでいて、健康に十分気を付けているとのこと。
平成19年の国民健康・栄養調査によると、糖尿病の可能性を疑われる人を含めると推定2200万人以上もいるといわれていて、生活習慣病の「代表格」だ。生活習慣病は日々の生活改善が必須なのだが、十分な知識を得て取り組んでいるとは言えない。
さて、昨日の西日本新聞の健康コラム「素朴な疑問」に『1日分の野菜』が取り上げられていたので紹介したい。「素朴な疑問 食品の裏側から」西日本新聞 2015.1.21
内容をみると、「搾るときに繊維質は除かれ、輸送コストのため加熱濃縮される工程でビタミン、ミネラルなども減少。あとから減った成分を添加して栄養素の帳尻を合わせたとしても、素材からとった350㌘の野菜とは根本的に違います。」と記事にあるように、野菜30種類350g分の栄養がきっちり摂れるジュースだが、ジューサーを用いて自宅で作る生のジュースとは根本的に違うのだ。
友人に話を戻すが、十数年も前から糖尿病を患いながら、朝食は『1日分の野菜』を1パックだけで済ます食事のあり方は感心しない。しかも、体重がかなりオーバーしているのが一目でわかり(お腹は太鼓腹)、運動はほとんど行っていない。
長年の通院治療にもかかわらず、私たちの目から見るとインスリンを打ちながらの生活は本当に大変なことなのに、本人はその大変さを自覚していないのだ。現状の医療のあり方に大きな疑問を抱いた。
しかし、市販されている清涼飲料の中には糖分を多く含むものも数多く存在する。そのような飲み物を何も考えず飲んでいる人が多いことも事実だ。また、野菜嫌いで全く野菜を摂らないよりは、野菜ジュースは良いのだろうが、これだけで健康体質が作られるかといえば嘘になる。