釜山旅行記(2015.12.19~22)
現在の時刻6時15分。1時間も前に「我が家の若殿」ビービー君の唸り声に起こされてしまい、早い目覚めになってしまいました。二度目の海外旅行といってもお隣の韓国釜山で、沖縄よりも近い所です。とはいえ、海外には違いがないのです。最初の海外旅行(東南アジア周遊)からは15年も経ちますが、あの時のような興奮はありません。大阪や東京よりも近い距離なので、海外の実感が湧かないのかも知れません。
今回の旅行先の釜山は韓国第二の都市で、人口は約350万人(統計庁2012年)。韓国全体の人口が約5000万人あり、首都のソウル市が約1000万人で、仁川広域市と京畿道を含む首都圏の人口は約2200万人、なんと首都圏に約48%が住んでいる計算になります。
さて、今回の旅行は今日(19日)から23日までの3泊4日の日程で、有田を11時に出発し、博多へは13時までに到着の予定です。定刻に友人が車で迎えに見えて、博多へ向け出発しました。一般道を経て武雄北方インターから高速に入ると、平均速度を約88kmに設定された車は、アクセルペダルを踏まずに快適走行をしています。最近の自動車は進化しているのですね。鳥栖ジャンクションを福岡方面へ左折し、大宰府から都市高速へ入ると、前方上空には福岡空港から飛び立つ飛行機が見えてきました。しばらく走ると右手に着陸する直前の飛行機も見えました。予定の時刻通りに博多港国際ターミナルに到着しました。釜山へは高速船で渡るので、これから約3時間の船旅です。
博多港で、まず乗船手続きです。受付カウンターは韓国の女性職員だったので「アニョハセヨー」と覚えたての挨拶をし、インターネットで予約しておいた予約チケットを差し出しました。乗船手続きは事前の準備をしっかりしておいたので万全です。と、ところが、二つのミスが発覚しました!
一つ目は二人のチケットを一人の名前で予約していたこと。アイゴ~アイゴ~! 海外旅行ではパスポートの確認があり、各々の名前で予約が必要だったのです。 さらに二つ目はとんでもないミス。アイゴ~アイゴ~!一人の予約分のうち帰りの便が一日早く予約してあるのです。といっても私がインターネットで予約した時の単純なうっかり確認ミスなのです。予約時に、帰る予定日の前日をクリックしていたようで、取り返しの付かないことになってしまいました。アイゴ~! 仕方なく一人分はキャンセルし、キャンセル料は免除してもらったものの、一人分は当日券を購入する羽目になりました。結局は早めに購入した安いチケットは一人分だけで、スタートからつまずいてしまいました。アイゴ~!アイゴ~!アイゴ~!
私自身これまでこの手の事件は何度も起しているので、さほど驚くことはないのですが、釜山旅行出発前の大失態!もう後の祭りでした。
乗船手続きに手間取ったため昼食の時間がなくなり、売店で手ごろな弁当を購入し、待合室の椅子で昼食を済ませることになりました。食事を終える頃に乗船案内がアナウンスされ、いよいよ出国です。出国手続きは思ったよりスムーズに進み待合室へ移動しました。周りを見渡すと殆どが韓国人ばかりで、日本人の姿は見かけません。実際には日本人も居たのでしょうが、見分けが付かなかったのかも知れません。出発の10分ほど前になり乗船が始まりました。
高速船の中は、外から見た目とは違い意外と広く感じました。周りを見渡すと9割ほど席が埋まっています。出発の時刻になりエンジンの唸り声が響き、身体へ振動が伝わって来ました。岸壁を見るともう船が徐々に離れていて、船はスピードを増しています。 博多湾を離れスピードが徐々に上がると、船は安定した速度で波を蹴り釜山を目指しています。
約2時間も経った頃でしょうか、左手にうっすらと島が見えてきました。対馬です。対馬は南北82km、東西18kmの細長い島なので、船から見える島の姿はしばらく続いていました。船の揺れは軽かったのに船酔いしたようです。 夕日が西の海に沈むころ、前方に韓国の陸地が徐々に大きさを増してきました。定刻から10分ほど遅れ釜山港へ着岸しました。船内は下船の準備で席を立つ人が目立ち始め、女性のキャビンアテンダントが席を立たないように声を上げています。下船の案内が告げられ、荷物置き場には客が我先に向い、下船が始まりました。
出口では女性のキャビンアテンダントが笑顔で「アニョハセヨー」の挨拶で見送ってくれました。タラップを降りると、釜山港のターミナルビルの中へ乗客は急ぎ足で進んで行きます。幾つかのコーナーを回り、出国手続きの広いフロアーが見えてきました。乗客はパスポートを準備し列に並び、手続きの時間はわずか1分程度で完了している様子です。入国の窓口では、乗船前に書いておいた入国用のカードを沿えパスポートを提出し、アナウンスの指示で左右の人差し指を機械に差出します。さらにカメラに目を向けるとシャッター音がして入国手続きが無事終了しました。最近では指紋と目の画像をカメラに収め供えるようです。その後、手荷物の検査があり、これも事前に書いておいたカードを提出して出国手続きが全て終了です。
時計を見ると夕刻6時を回っています。釜山港ターミナルビルを出ると、バスに乗り込み、すぐそばの釜山駅へ向かいました。バスの料金は1010ウォンで、日本円で100円ほどです。事前に友人から頂いていた専用チップを機械にかざし、乗車しました。バスも地下鉄もこれがあるので安心です。
バスの車窓からは夕闇に浮かぶ夜景が広がります。数分で釜山駅にバスが停車し、下車すると目の前の釜山駅は大きなターミナルビルになっています。釜山駅を起点に、ソウルに向けKTX(韓国高速鉄道―日本の新幹線に相当)が運行しています。 私たちは駅の構内を港側から正面玄関側へと歩くと、駅前に東横インホテルが目に入ってきました。
ホテルに入り、正面カウンターでチェックインの手続きです。韓国人の女性スタッフの流暢な日本語で手続きがスムーズに終了しました。1階ロビー脇のロッカーからパジャマを1枚取り出すと、各々部屋に向いました。予約しておいたシングルの部屋は丁度良い広さです。早速、持参したパソコンをセットすると、早速日本へにSkypeから到着の連絡です。韓国と日本は時差がないので、夕食の準備中かも?と考えながらコールをしましたが繋がりません。手が離せなかったようです。
部屋で20分ほど身体を休め、最初の予定通り日本円を韓国ウォンに両替するため、地下鉄釜山駅から南浦洞(ナンポドン)のチャガルチ駅まで、これから移動します。
韓国の地下鉄は上り下り線をしっかり確認して改札を出ることが必要で、行き先を間違った場合は目的地と逆方向に乗車する事に気付いても反対側に行く連絡通路がないようです。間違って入れば、一旦改札を出て新たに入ることになり再度料金が発生するので、行き先の確認をしっかりする必要があります。日本では考えられないようなことが、ここ韓国ではあるのですね。
地下鉄釜山駅の階段を下り、改札を通りホームに降りて電車を待ちます。地下鉄でもハングル文字が目立つ意外は日本の地下鉄と殆ど変りがありません。障害者や妊婦と高齢者には日本と同じようにシルバーシートが用意されています。特に驚いたのは座席のクッションが硬いことです。ほとんどクッションが無く、これにはさすが閉口しました。長い時間座っているとお尻が痛くなりそうです。
電車は約10分でチャガルチ駅に到着しました。時間は7時を回っています。この駅では多くの乗客が降りるようです。 改札を出て階段を上ると、南浦洞の町が飛び込んできました。 明るく賑やかなネオンと若い人たちが多いのに驚きました。ここ南浦洞は東京新宿や渋谷の雑踏を思い出します。目の前の交差点では自動車が混雑していて、クラクションが鳴り響いています。さらに驚いたことは、赤信号でも車は何台も交差点に入り込み、一般車ばかりかタクシーまでも堂々と走り抜けて行きます。聞いてみると、韓国では信号無視は当たり前のようで、日本では考えられない光景でした。
地元では有名な「光復路」へ向かうと、混雑は激しくなり前に進むことも困難になるほどの混雑振りです。 友人によると「光復路」の地名は終戦の8月15日に由来するらしいのですが、韓国では8月15日が日本からの開放・独立にあたり、韓国に光が差し込む光明の時代が来たことで、この名が付いたとのことでした。
ちょうどクリスマスシーズンでもあり、この通りはイルミネーションが美しく輝いていて、釜山の観光名所になっているようです。夜店がいくつも並んでいて、露店の人だかりが目立ちます。覗いて見ると食べ物が山に盛られ湯気を立てています。トッポギやおでんのお店もあり、何処の屋台も賑わっていています。露店の前では、長い串に刺さった食べ物を食べている人が多いのも目立ちました。 土曜日の夕方の時間帯なので特に若い人たちで賑わっているようです。ここ南浦洞のこの一帯はホントに露店が多いことに驚ろかされます。路地を曲がって進むと、路上にいくつもの食台が並び、食事をする風景が目に飛び込んできました。
年配のおばちゃんたちが小さな椅子に腰を下ろし、狭い台の上で色々な料理を作り提供しています。韓国式おでんもあるようです。小さな皿にキムチや野菜が盛り付けられていて、賑やかな食台が一見華やかに見えました。若いカップルや年配の人たちが美味しそうに食事をしています。
屋台と違って路上で食事を提供する様子はとても珍しく驚きでしたが、皿など綺麗に洗っているのだろうか?などと、衛生面をつい考えてしまい、食べる気がしません。アイゴ~アイゴ~!でも、地元釜山では当たり前の光景なのでしょうね。食文化の違いを見ました。
また、この界隈は小さな店舗が所狭しと立ち並び、東京のアメ横を彷彿とさせました。 狭い道路の両側には衣類や小物をぎっしり積み上げた店が何軒も並び、活気を感じさせます。売り場には大きいボール紙に書かれた価格カードが貼られ、ガラス窓には大きなハングル文字が目立ちます。道路は幾重にも交差し、小さな店がひしめき合って並んでいます。
まずは、最初の目的地の両替店を目指します。何度も釜山を訪れている友人は現地事情に詳しく、両替も一番良いレートで交換してくれる所を良く知っているとのこと。南浦洞の裏通りを歩き両替所に着きました。入口に年配の女性が二人いて、中に外国人観光客二人が両替中です。(あはは・・・私たちも外国人ですね。)友人がお店の女主人と親しげに会話をして、(韓国語で)両替をしました。 今回の旅行は特別の買い物も無いので、取りあえずホテルの宿泊費と滞在中の食事代があればOKです。と言うことで私も5万円を差し出すと、50000ウォンのお札が9枚、10000ウォンのお札が3枚、5000ウォンのお札が1枚が手渡されました。合計で485000韓国ウォンですが、ゼロの数が多いので、何だかお金持ちになった気分です。
当日のレートは、日本円100円が韓国ウォンに交換して970ウォンでした。両替の交換レートは毎日変動するので、出かける前に新聞やNET検索で調べておくといいですね。
通りの途中で、年配の女性に友人が親しげに話をかけ、美味しい焼肉の店を紹介してもらいました。友人はたびたび韓国を訪れていて、古くからの知り合いのようです。やはり地元の情報は地元の人が一番です。
焼肉の店に着きました。電光の赤い看板とガラス窓には大きなハングル文字が踊っています。店内に入ると独特の臭いです。席を探していると店員から2階に行くよう合図があり階段を上がります。靴を棚に収め一番奥の席に落ち着きました。日本人が珍しいのか周りからの視線が注がれているのがわかります。赤いシャツの中年のおばちゃんに骨付きカルビをオーダーすると、おばちゃんがテーブルの中央に炭をセットし、薬味やキムチのほか白いスープのキムチやネギのナムルを運んでくれました。 ニンニクを鉄板に放り込んでいると、すぐに骨付きカルビが運ばれ、おばちゃんが手際よく焼き始めました。私たちはビールと定番の焼酎を飲みながら肉の焼けるのを待つます。「これはサービスです」と届けられた茶碗蒸しを食べてみましたが淡白でした。
肉が程よく焼けてくるとハサミで食べやすいサイズに切ってくれます。本場の焼肉料理を堪能し、アルコールの酔いで満足です。最後に冷麺を注文したが、船酔いの疲れが残っていたのか半分ほど食べ残してしまいました。食事が終わり、二人分の料金72,000ウォンを支払い店を出ました。
帰り道も相変わらず活気に満ちていて、土曜日の夜を満喫している若者たちで賑わっています。私たちはウインドゥショッピングを楽しみながら地下鉄の駅を目指しました。チャガルチ駅から釜山駅に戻り、改札から地上に出ると気温も下がっていて、肌寒く感じました。駅広場では帰路を急ぐ人が足早に通り過ぎて行きます。
東横インホテルに着くと、正面入口カウンターで部屋ナンバーと名前を告げ、部屋のキーを受け取ります。エレベーターで8階まで上がると疲れがどっと噴き出しました。部屋に戻るとまずパソコンを立ち上げ、インターネットで自宅へ連絡を取り今日一日の報告です。
その後、バスタブにお湯をはり、のんびり入浴しました。おやすみコールのあと、明日の朝に備え目覚ましをセットし、就寝までのあいだ今日一日の出来事をパソコンに入力します。こうして韓国での1日目が終わりました。
明日は韓国の三大名刹に数えられる古いお寺の通度寺(トンドサ)を訪ねる予定です。